5.82015
隠岐の島の黒松は、貴重な素材として、各地の有名な建築物に活用された事例がいくつかあります。
今回は、そのうちのひとつをご紹介させていただきます。
静岡県の駿府城の坤櫓(ひつじやぐら)は、2013年に復元工事が完工しました。
この工事では、限られた期間に、樹齢100年を超える木材が必要だったので、静岡県内の地場産在を中心に、杉・ヒノキが集められたほか、古くから良質な松材の産地として有名な山陰地方に位置する、島根県の隠岐の島町の松が木材として選ばれました。
今回使用された松は、直径40cm~56cm、長さが4m~9mで、その数は50本ほど。
力強い、大口径の松は、その曲がりを利用しながら梁として活用されています。
ちなみに、この黒松は、より健全な森林づくりをおこなうため、「抜き切り」という手法で伐採をされております。
【抜き切りとは?】
その地にある木を全て一斉に切ってしまえば、手間もかからずで経費的ですが、次の木が育つまでに土地はさらされたままになり、災害の危険性が高まるほか、幼木が育ちにくいなど、健全な森林づくりに影響を与える可能性があります。
抜き切りの場合は、林内の伐期に達した木のみを伐採すること。
抜き切りをした後の土地には、新しく木の苗を植えるも場合もあれば、自然に新しい木が生えるのを待って、原生的な森林に近づけることもあります。
抜き切りは手間もかかり、経費面やにも効率は良くありませんが、切り残された木が幼木を風雨からガードするほか、残された木が養分や日光を多く吸収できるようになり、木の成長には大きなメリットとなります。
古くから栄える隠岐の島の林業をこれからも続けていくために、健全な森林を育てながら木材を取り扱っているのです。
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